里山わさび(3)

【神戸新聞 2017年5月23日】

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早速、本日の神戸新聞さんに取り上げて

いただきました!ありがとうございました。

里山わさび(2)

 

5月中旬になると、サヤが紫に色づきます。

 

 

6月になると、ワサビ田には無数の種がばらまかれます。

 

 

翌年春になると、場所によってはこぼれ種から

自然に発芽してあちこちで双葉が顔を出します。

 

ワサビ野づくりにおいて、まずは「とりまき」の

実験からスタートしたいと考えています。これは

熟したサヤ(種)を採り、すぐにサヤごとまくと

いう最も手間のかからない方法です。

 

 

『種のおすそわけ』として、この取り組みに参加

していただける方の協力のもと、5月下旬に

100個ほどのサヤを各地へ発送して様々場所で

試してもらいます。

 

土中でサヤは腐りやがて種だけになり、この辺り

では翌年の2月下旬〜3月上旬に春の気配を感じ

ると自然に発芽します。苗づくりなど通常の栽培

で行う工程をすべて省き、こぼれ種のようにほぼ

自然に任せて繁殖させる方法です。

里山わさび(1)

おいしく親しみながら、里山の

ワサビを未来へつなぐ!苗を植えて、

ワサビ野づくりしてみませんか?


ワサビ田の周りには、こぼれた種から繁殖した

ワサビがたくさん自生しています。すりおろす根部

は太くなりませんが、春になると緑鮮やかな葉を

どんどん展開させます。このようにワサビは「土」

でも育ち、山に自生しているものや、畑で栽培した

ものは主に葉や花、その茎の部分を利用します。

 

ワサビ田を囲む丘に広がるワサビ野

 

そもそもワサビは日本原産の植物であり、古来より

山に自生していました(その起源は500万年前

とも言われています)。しかしながら、近年では環境

の変化や鹿の食害などにより、里山のワサビがどんどん

減り、遺伝的な多様性や、葉ワサビを楽しむ食文化が

失われつつあります。たくさんの人の手によって身近な

山や畑に苗を植えてもらい、小さなワサビ野を再生して

いく。私どもはこのような活動に取り組んでいます。

 

まずは消えてしまえば二度と手に入らない、その土地

のワサビを探してみましょう。この活動がきっかけと

なり、神鍋高原でも昔から栽培されてきた在来種が見

つかり(昔はわが家でも栽培していた幻のワサビ)、

途絶えかけていた種を譲り受けました。今後、高原の

あちこちに苗を植えてもらい、地域の皆さんと守り育

てていきたいと考えています。基本的にはわが家の種

から育てた苗をおすそわけしていますが、その土地の

環境にはどのような品種が合うのかいろいろお試しい

ただいたほうが良いかと思います。

 

神鍋の在来種ワサビのサヤを持ち帰り、種の保存に成功

 

サヤには6〜10粒ほど種が実ります。種は乾燥にとても

弱く、発芽率にもバラツキがあり、その取り扱いは他の

作物とは全く異なります。

 

種から苗を育てるのは難しいので、秋と春の年2回、

わが家で育てた苗をおすそわけしています。

 

「標高300m以上の山林、北か東向きの傾斜地、そば

に川が流れているような場所」。このような環境が理想

と言われていますが、身近な山や畑でどんどんお試し下

さい。不耕起、無肥料、無農薬、林間の遮光を基本とし

ます。畑の柿や栗、庭木の下などのちょっとした空間を

利用することもできます。苗の植え付けも簡単ですので、

初めの方でも気軽にお試しいただけます。

 

アジサイの木の下

 

盆栽の棚の下

 

苗の植え付けは簡単です!

 

植え付けから数年後の様子

 

根こそぎ収穫しないで、春になれば旬を迎える花や葉

ワサビを摘んでワサビ漬けなどを毎年楽しむことがで

きます。それなりの収穫を目指すなら畑ワサビとして

栽培しますが、なるべく環境に優しい自然農法などの

技術を取り入れましょう。渓流沿いなどちょっとした

水辺があれば、沢ワサビとして根部の収穫することも

できます。

 

日本列島の約7割は山間部が占めており、ワサビが育

つ環境は無数に存在します。鹿の被害が避けられない

場所では、やはり柵などで囲って保護するしかありま

せんが、環境に神経質なワサビを育てるということは、

里山の手入れにもなります。おいしく親しみながら、

里山のワサビと食文化を未来へつなぐ!このような活

動にご興味のある方はメールにてぜひお問い合せ下さい!

 

■わさび農家 北村わさび 北村宜弘
メール:info@kitamura-wasabi.com

フランスわさび(1)

フランスから、クレソン農家さん(32歳)が視察に。

 

 

120年の歴史ある産地の、彼は3代目だそうです。
この村に生えているクレソンを手に取り、
「このクレソンは私が栽培しているものとは全く違い
ます。クレソンもワサビと同じようにずっと種を採っ
ています。種で更新しなければ元気なクレソンを維持
することはできません。品種もオリジナルのもので、
何種類かあります」。彼もまた「種とり農家」なんだ
とわかると、ぐっと親近感が湧きました。

 

 

年間通して一定の水量、12度という一定の水温、
この豊富な地下水を利用してワサビに挑戦したいと、
静岡、長野で研修し、そしてわが家にも来られました。
彼は、わが家のホームページ、ブログ、ユーチューブ
などを見て独学していました。自分なりにまとめた
資料を私に見せてくれました。

これまでメールでやりとりしてきましたが、彼はすで
に試作田を作り、各地から苗を取り寄せ、ゆくゆくは
種を採ってみたいと、とにかく熱心に進めています。

 

「日本にはその土地に土着した多様なワサビ田の様式
や栽培方法がありますが、どこでも同じように再現で

きるものではありません。日本とは気候風土も違うので、

日本のワサビの風味をどれだけ引き出せるのか全くか

わかりません。私も試行錯誤の毎日で、5年、10年

はあたり前に時間がかかります。すぐに結果が出るわ

けではなく、結果が得られたとしても維持していくの

は難しいです。とりあえず苗がちゃんと育つか気長に

見ていきましょう。その土地に根付くかどうかは、 

最終的にはワサビが決めますから」。 

「時間は全く問題ないです。フランス人ですから」

と彼は笑っていました。


 

お蕎麦屋さんでおもてなしをして(わが家のワサビを

試食しながら)、彼とも、いろいろいな話をして交流

を深めることができました。もちろんお互い言葉は

通じませんが、今回は日本の女性お二人を通じてこの

ような取り組みを進められており、皆さんと楽しい

時間を過ごさせていただきました。

 

 

私もいつかフランスにも行って彼の栽培したワサビを
口にしてみたいし、フランスの湧き水や農業や食に触
れてみたいと思いました。
ワサビの栽培も今では海外のあちこちに広がりを見せ
てみせていますが、ワサビは日本で独自の進化を遂げ
てきた固有種です。やはり、「ワサビの多様性」を守り、
これからも伝えていくべきだと改めて感じました。