2012.03.06 Tuesday
苗作り(1)
ワサビ田での苗作り、記録していきたいと思います。
作物から自然に落ちる「こぼれ種」、そこから芽生える
植物をこの辺り?では「あだばいの○○」と言います。
あだ(地面)、ばい(芽が出て生える)が由来みたいで、
この自然苗とも言えるワサビ田の「あだばいのワサビ」、
やっぱり水ワサビ(土で育てたものは畑ワサビと言う)は
「水」が命、畑やハウスで育ったものとは違って、単純に
水ワサビらしい、自然らしい、これにとても魅かれます。
大きくなり花が咲き、ワサビ田で「種」が循環しています。
この「らしい」にどこまで近づけるか、近づくと言うよりも
この自然苗から考える。農家の仕事、やるべきことは
とても単純で、環境を整える、そしてたくさんの種ををまく、
こぼれ種からスタートして、迷えばまたここに戻ればいい。
これは土手に落ちたこぼれ種が生き残り、昔から
ずっと繁殖を繰り返し、生き続けているワサビです。
土手の下は収穫後のワサビ田で水が流れています。
水と土、自生(手を加えない)と栽培(手を加える)、
同じワサビでも違っています。ワサビ田に2つが共存、
2つの視点からいろいろ考えてみると面白いです。
栄養繁殖と種子繁殖、2つの方法で子孫を残していく植物。
それは作物も同じ。昔は近くの山から自生のワサビを採って
きて、株を分けて栄養繁殖だけで栽培、増やしていましたが、
これを繰り返していくとやがて退化してしまい、またどこからか
探して採ってくるの繰り返し。そんなある時、父が高校生の頃、
小池山のゴミ捨て場(収穫時に出るワサビのクズを捨てる)で、
種から芽を出している自然苗を見つけ(写真は昔の
アルバムから「山間の山葵」)、これをワサビ田に移植
すると今までにない良いものができて、そこから祖父と
父とで、種から増やす種子繁殖の取り組みが始まり、
やはり「こぼれ種」が始まっている。同時に「ダルマ種」を
取り入れ、土地の湧き水、気候風土に合った品種を作り、
栄養繁殖と種子繁殖で55年ほど今の種を守っています。