苗作り(1)

ワサビ田での苗作り、記録していきたいと思います。



作物から自然に落ちる「こぼれ種」、そこから芽生える



植物をこの辺り?では「あだばいの○○」と言います。

あだ(地面)、ばい(芽が出て生える)が由来みたいで、

この自然苗とも言えるワサビ田の「あだばいのワサビ」、

やっぱり水ワサビ(土で育てたものは畑ワサビと言う)は

「水」が命、畑やハウスで育ったものとは違って、単純に

水ワサビらしい、自然らしい、これにとても魅かれます。

大きくなり花が咲き、ワサビ田で「種」が循環しています。



この「らしい」にどこまで近づけるか
、近づくと言うよりも

この自然苗から考える。農家の仕事、やるべきことは

とても単純で、
環境を整える、そしてたくさんの種ををまく、

こぼれ種からスタートして
、迷えばまたここに戻ればいい。



これは土手に落ちたこぼれ種が生き残り、昔から

ずっと繁殖を繰り返し、生き続けているワサビです。

土手の下は収穫後のワサビ田で水が流れています。

水と土、自生(手を加えない)と栽培(手を加える)、

同じワサビでも違っています。ワサビ田に2つが共存、

2つの視点からいろいろ考えてみると面白いです。



栄養繁殖と種子繁殖、2つの方法で子孫を残していく植物。

それは作物も同じ。昔は近くの山から自生のワサビを採って

きて、株を分けて栄養繁殖だけで栽培、増やしていましたが、

これを繰り返していくとやがて
退化してしまい、またどこからか

探して採ってくるの繰り返し。
そんなある時、父が高校生の頃、

小池山のゴミ捨て場(収穫時に出るワサビのクズを捨てる)で、



種から
芽を出している自然苗を見つけ(写真は昔の

アルバムから「山間の山葵」)、これを
ワサビ田に移植

すると今までにない良いものが
できて、そこから祖父と

父とで、
種から増やす種子繁殖の取り組みが始まり、



やはり「こぼれ種」が始まっている
。同時に「ダルマ種」を

取り入れ、
土地の湧き水、気候風土に合った品種を作り、

栄養繁殖と種子繁殖で55年ほど今の種を守っています。